ShigeRokuBlog

アニメ・マンガ・映画――ポップカルチャー全般を語る日記。

「時をかける少女」を観た

 

時をかける少女  ブルーレイ [Blu-ray]

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 レンタルにて『時をかける少女』を観た。細田守によるアニメ版ではななく、大林宣彦監督が1983年に監督した実写版のほうだ。今第一線で活躍しているアニメクリエーターが強く影響を受けていたらしく、「アイドル映画の金字塔」という評価もよく聞くので、抑えておこうと。また角川映画の雰囲気をなんとなく知っておきたかった。

率直な感想としては、正直なところあんまり刺さらなかった。細田版の『時をかける少女』は当時絵コンテ本にサインをもらいにいくほど琴線に触れたのだが……。アニメ版のようにタイムリープ能力を使いまくるのかと思いきや、本作の主人公・芳山和子は能力を自らの意志で使うのはクライマックスのたった一度だけ。細田版は序盤から能力を乱用してテンポ良く映画が進行していくが、実写版だと和子が真面目な性格なので未知なる力に怯え苦悩するだけ。あまりにかったるかったので、途中から早送りで観てしまった。

特典のインタビューで大林監督の発言にあるように、本映画は物語うんぬんというよりも、アイドル・原田知世の魅力を見せるための映画なんだと思う。だけれども、正直、原田知世演じる芳山和子に魅力をあまり感じられなかった。これを言ったら身も蓋もないが、そもそも原田知世を可愛いと感じられなかった。これは世代のギャップによるところが大きいが、事実なのでしょうがない。大林監督は原田知世のことを「背筋がしゃんと伸びた古典的な美少女」と称していたが、現在の美少女観とは大きくかけ離れている。

中盤にかけて退屈に観ていたのだが、物語のタネ明かしについては素直に驚いた。未来人によって和子の記憶が書き換えられていたことについては、「『GHOST IN THE SHELL』の清掃員とおんなじじゃん!」と少々複雑な気持ちに。でも、何だかんだ言って「アナタのことは絶対に忘れない!」という和子の健気な姿には否応なく心を打たれてしまう。ラスト、成長したふたりが互いをちゃんと覚えていてハッピーエンドかと思いきや、気付かずにすれ違ってしまうのは意外だっった。大林宣彦監督も明言していたように、悲劇として描かれている。「ハッピーエンドでいいじゃん!」と思う反面、悲劇のままのほうが和子の純粋な気持ちが研ぎ澄まされる感じで、それはそれでありなのかもしれない……。

本作は当時大ヒットしたらしいが、なぜそこまで人気があったのかよく分からない。調べてみよう。