ShigeRokuBlog

アニメ・マンガ・映画――ポップカルチャー全般を語る日記。

0930

■『心が叫びたがってるんだ。』

映画『こころがさけびたがってるんだ』を観てきた。『あの花』メインスタッフがまた青春群像劇をつくるということで、「あんな感じだろう」と予想していたけど、良い意味でかなり裏切られた。

あの花』に比べると岡田麿里色が濃厚。冒頭のラブホのくだりや、とあるカップルの逢引など生々しい描写が多い。CMやPVが爽やかなイメージだったので、全然違うなーと。

より驚いたのは、ラスト、成瀬順と坂上拓実がくっつかないこと。この作品は「声」を失ってしまった順と、彼女を導く拓実との交流が縦軸となっている。終盤、声を取り戻せるかのように思えた順に再び試練が訪れるのだが、ありがちな映画だと、ここで順が成瀬に告白して「めでたし、めでたし」になる。でもこの作品はそうはならならなくて、新時代の「ボーイ・ミーツ・ガール」といった感じ。

あとは単純に成瀬順が可愛らしくてよかった。声は出せないけど、思ってることはすぐ表情に出るし、オーバーリアクション気味でまるで小動物のよう。それだけに拓実と結ばれないラストはかわいそう。彼女の幸せは祈るばかりである。

けっこう尖ったことをやってるけど、青春群像劇の醍醐味は充分にあった。キャラ配置も王道でありながら、それぞれのキャラクターはステレオタイプではなくちゃんと奥行きがあってよかった。

またこの座組でアニメ映画をつくってほしいところ。