ShigeRokuBlog

アニメ・マンガ・映画――ポップカルチャー全般を語る日記。

『マイマイ新子と千年の魔法』を見た

 

マイマイ新子と千年の魔法 [DVD]

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レンタルにて『マイマイ新子と千年の魔法』を鑑賞。今まで見たことがないようなアニメーション映画で、不思議な魅力がある作品だった。

舞台は昭和30年代の山口県防府市国衙。麦畑が広がるこの地で暮らす元気いっぱいな少女・新子を主人公に、東京から転校してきた貴伊子との交流をメインに物語は進んでいく。

まずはじめに目を引いたのが、緻密な背景で描かれた古き良き日本の風景。青々と一面に生い茂る麦畑、太陽に照らされキラキラと輝く水路、舗装されてない砂だけの道―――。これだけでも見る価値はあり、心地よくノスタルジックな気分に浸れた。

監督の片渕須直ジブリ作品に参加していたこともあり、一見すると本作はジブリ映画のように思える。だが実際は「似て非なるもの」だった。まず何よりまったく説教臭くない! 宮﨑駿とはまったく違う。

また当初はハートウォーミングな作品と思いこんでいたが、これもまったく違っていた。たしかに中盤までは新子と貴伊子の交流が心温まる感じで描かれていく。だが、終盤から一転、友人の父親が借金のせいで首を吊ったり、先生が恋人に浮気され婚約破棄になるなど、子どもにとってはあまりにも重い事実が突きつけられる。絵柄が可愛らしいだけに、シリアスとのギャップが凄まじかった。

なぜここまで重い内容を描く必要があったのか? 調べてみると、本作の原作は髙樹のぶ子が自らの幼少時代をモデルに描いた自伝的小説とのこと。てっきり児童文学かと思っていたが自伝なのか。ということは、「教訓を描こう」とかではなく、自分が子どものころに直面した事実をそのまま描こうとしたのだろうか。

うーん、ここまで書き殴ってきたけど、自分が何に惹かれるのかはっきりせずモヤモヤする……。

そんなところ、アニメ評論家・氷川竜介氏の解説文を発見。これを読んで一気に腑に落ちたのである。

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