『羊たちの沈黙』を観た
TSUTAYA DISCASにて『羊たちの沈黙』。FBI実習生のクラリスが、食人を嗜好するレクター博士の助言を借りつつ、猟奇連続殺人鬼・ビルを迫るというもの。小説版を読んでいたこともあり大雑把な内容は知っていた。
この映画で何より強烈なのはレクター博士のキャラクター性だ。人肉を食べるという異常性、バケモノ地味た知性、紳士的な振る舞い……一度見たら忘れないほどのインパクトがある。レクター博士に影響を受けたと思われるアニメ・マンガキャラもけっこう見てきたし、それだけのキャラクター性があるということだろう。
ジャンルとしては「サスペンス」や「ディテクティブ」ととらえた。現場に散りばめられた謎やレクター博士の助言を手がかりに犯人に迫っていく過程はまさにそうだ。「サイコスリラー」とも言われているそうだが、あまり恐くないし、昨今のキャラクターと比べるとレクター博士やビルもそこまで異常だとは思えない。これはきっとアニメに毒されているせいなんだろうな。
本作は1991年に公開され、アカデミー賞で主要5部門を受賞するほどの高評価だが、理由がよく分からなかった。率直な感想としては“ふつうに面白い”ぐらい。今の目から「サスペンス」や「探偵もの」として見ると、新規性がなく「よくある映画だなー」という印象。
アニメ雑記07/14
「ガッチャマン クラウズ インサイト」#1、2
ぬるっとスタートした感じ。前作でカッツェを打ち破ったガッチャマンチームだが、世間は相も変わらず。
前作から1年経ったということで、はじめたちが世間に浸透している様子。ワイドショーのゲストとして登場したり、市民たちも親しげに接している。このあたりの描写が今の時代におけるヒーローものだと思った。
新キャラ・ゲルサドラの「心を視覚化する」という能力がおもしろかった。彼女はこれまでに悪い星を更正させてきたらしいが、この能力の何がそうさせるのだろうか。私的に「他人に心を見られる」というのはちょっとイヤ……。
ほかの人は心がカラフルに変化していたが、はじめちゃんだけは白のまま。改めてはじめちゃんの異質さを感じさせられた。
ガッチャマンクラウズは現代社会に対する批評性が強い作品。スマホで選挙など「実際に実現したらどうなるんだろう」とワクワクさせられるものがある。
アニメ雑記 07/09
録りダメていた夏クールの新アニメを消化中。今期アニメはトリッキーな作品が多くて、ジェットコースターのように振り回されるような感覚が楽しい。
以下、第1話の所感メモ。
「WORKING!!!」#1
第2期から4年、この変わらなさにビックリ。相変わらずぽぷらが可愛い。変わらない日常を繰り返す、典型的な「日常もの」だが、個人的には温度差があって今はノリづらい。モラトリアムに浸ってる場合じゃないというか。
「ビキニウォーリアーズ」#1
ショート枠でセクシーもの。ビキニアーマーでおっぱいバインバイン。
「洲崎西 THE ANIMATION」#1
こちらもショート枠でコメディ。唐突な「エースをねらえ!」パロディと、可愛らしい絵柄に反してのド下なオチでびっくり。
「花の勇者」#1
魔王が復活して選ばれし勇者が決起する……ライトノベル原作らしく王道なファンタジー。まきびしを使ったり口から火を吐いたりとトリッキーなアクションが面白かった。でも説明的なシーンがやたら長く、もうちょっとアクションのなかで主人公の背景なり物語世界を語ってほしかった。
「オーバーロード」#1
『ソードアート・オンライン』と同じくオンラインゲームが題材。オドロオドロしい骸骨が主人公でインパクトあった。突如仮想現実に閉じ込められるという導入は『ソードアート・オンライン』と同じだが、作品としてのテイストはかなり差があった。王となってまわりがかしずくシチュエーションは見ていて心地いい。主人公は異常な状況下でありながらモラトリアムを感じている。でも「このままではいけない……」という葛藤もある。このあたりドラマの鍵となりそう。
「空戦魔導士候補生の教官」#1
雇われものが落ちこぼれ集団を一人前に叩き上げるという王道パターン。自分を女神の生まれ変わりだと信じこんでるキャラにグッときた。1話は導入に徹した感じ。ここから面白くなるのか。
脳汁プシャーのバイレンスアクションゲーム『Hotline Miami』
PS4ゲーム『Hotline Miami』をクリアした。買ってから5日、合間を見つけては夢中になってプレイ。「アクション」としてはかなり“凶暴”なゲームだったが、強烈なゲーム体験となった。
本作は2012年にPCゲームとして発売されたものの移植版だ。日本版ローカライズは今回が初となる。
もともと3年前から本作のことは知っており、プレイ実況を見て衝撃を受けた。レトロな2D見下ろし型のアクションゲームながら、容赦無いゴア描写、サイケデリックな音楽、そして「人殺しを楽しむプレイヤー」というメタ的要素を含んだシナリオなどにシビレた。
当時ゲーム実況を見てメチャクチャプレイしたかったのだが、日本語版は発売されておらず悔しい思いをした。 だから今回の日本語版発売を聞いて慌てて購入したのである。
実際にプレイしてみて、とにかく敵をブチ殺していくのが楽しかった。サイケデリックな音楽をバックに敵をブチ殺していく快感は、まさにアドレナリンどっぱっどぱである。殺したときに吹き出る血しぶきも実に気持ちよかった。
でも、「敵をブチ殺す」と言っても決して「無双系」ではない。一発でも喰らうとサクッと死んでしまうし、見つかって囲まれたら即終了。だから基本は隠密行動だ。敵の行動ルートを把握したうえで、おびき寄せたりしてひとりずつ仕留めていく。意外と頭を使うゲームなのである。
難易度はけっこうシビアで、いわゆる「死にゲー」でもある。知恵を振り絞り、何度もリトライし、やっとのことで敵をブチ殺すことができるのだ。そのときの達成感はほかでは味わえないものがある。
プレイしはじめた頃は、エグいゴア描写もあって、敵を殺すことに一種の罪悪感があった。だが、クリア時にはそんなもの微塵も残っていなかった。もっともっと敵を殺したい。そう思うようになっていた。人間とはここまで変わるものなのか! ゲーム体験としては非常に強烈だった。
アクションゲームとしてはかなり“凶暴”な本作。人間性を疑われそうでオススメするのは少しはばかれるが、「敵を倒していく楽しさ」をここまで味わえるゲームはそうそうないはずだ。
プレイした者だけが味わえるアドレナリンどっぱっどぱの感覚。価格も比較的手頃なので、ぜひプレイしてみてほしい。
「バトルもの」の源流となった小説『甲賀忍法帖』
山田風太郎著『甲賀忍法帖』を読んだ。アニメ、マンガ好きとしてこれは読んでおくべき作品だったなと思う。
読もうと思ったかきっかけは、古参のオタクの方にオススメされたから。いわく「現在のバトル漫画やライトノベルにものすごく影響を与えた」らしい。wikiにも「ストーリー上にチーム対決の要素を初めて盛り込んだのは山田風太郎が初めてであり、山田風太郎という作家が漫画界に与えた影響は計り知れない」「『バトル物』と分類される漫画やアニメの始祖ともいえる存在であり、日本のエンターテイメント界にとって極めて重要な作品」とある。
実際に読み進めてみると、予想以上に今っぽい作品で衝撃だった。50年以上前の作品であり、文体はやや固めだが、本当に現在のバトル漫画やライトノベルと変わりがない。実際本作を原作として『バジリスク』として漫画家・アニメ化もされているし。
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本作の物語をひとことで言ってしまうと忍者版「ロミオとジュリエット」だ。甲賀と伊賀、それぞれの次期頭領は互いを愛し合っているが、お上の命によりチームデスマッチを強いられてしまう。悲恋の物語としては“王道”だ。
まず本作で強烈だったのは、“忍者”そのもの。日本の作品で忍者というと、『NARUTO』や『忍空』を見てもどちらかと言うと何となく“スタイリッシュ”なイメージがある。でも本作の忍者はビックリ人間的だった。関節をバキバキと自由に曲げたり、体中の穴から血を飛ばしたり、吸引だけで真空を起こしたり。「こんなのアリかよ!?」とツッコミたくなるような忍術が満載。忍術のバリエーションが豊富だから、バトルシーンも飽きずに堪能できた。
印象に残った忍術は、主人公・甲賀弦之介の「瞳術」。攻撃してきた敵を“見る”ことによって攻撃をそっくりそのまま跳ね返す、つまりは「カウンター」である。「目を使う」「チート並みの特殊能力」ということで、『コードギアス』のルルーシュを連想してちょっとおもしろかった。強力であるがゆえ、一歩間違うと無双になってしまいそうだが、そこは工夫が凝らされていてよかった。
だが、弦之介に立ちはだかる伊賀最凶の忍者・天膳の忍術もこれまたスゴい。天膳は「不死身」だ。たとえ心臓を突き刺して殺したとしても、驚異的な組成能力で復活するのである。
本作のクライマックスである、弦之介と天膳との対決のオチは鳥肌ものだった。死闘の末、天膳を殺した弦之介であったがすでに満身創痍。だが、天膳は不死身。このままではまた復活してやられてしまう。
そんなとき朧の「破幻の瞳」が開かれる。これは相手の特殊能力を「無効化する」というもの。
「朧は、なぜ泣くか。彼女は、破幻の瞳で、味方の天膳のつながろうともだえる生命の糸を断ち切ろうとしているのだ。伊賀が負けるか、甲賀が勝つか、それよりも彼女の胸にわきたっているのは、ただ甲賀弦之介を救いたいということだけであった」
このオチはほんとに見事。てっきり天膳は四肢解体したり全身焼かれたりして殺されるのかと予想していた。不死身キャラの最期ってそういうのが多いし。だが本作では違った。なおかつ「愛する者のために見方を殺してしまう」という朧の葛藤まで描かれているのがなお良い。
ラストはロミオとジュリエットばりに悲恋たっぷり。でもどこか美しくもあり、余韻の残る感じ。気持ち良く読み終えることができた。
『キル・ビル Vol.2』を見た
レンタルにて『キル・ビル Vol.2』を鑑賞。
落ち着くところに落ち着いたラストは不満はないが、全体で見ると圧倒的熱量を持ったパート1に比べると見劣りする。ビルと過去に何があったかなどドラマ主体だったし、アクションシーンも1対1だったし。
パート1が「ジャパニーズ全開」だったのに対し、パート2は中華テイストな映画だった。修行シーンはもろジャッキー・チェン映画だし、復習相手へのトドメを指す技も中華拳法だったし(むしろ北斗の拳か?)。いち日本人の視聴者としては、外国人によって極大解釈された日本が描かれるパート1のほうが面白く見れた。
印象に残ったのは、棺桶から脱出するシーン。手足を縛られ蓋は釘でガッシリと固定されて「これ、脱出無理だろう……」と思っていたところ、まさかパンチでぶち破るとは驚愕である。でも、直前に描かれた修行シーンの積み重ねで妙に納得してしまった。