ShigeRokuBlog

アニメ・マンガ・映画――ポップカルチャー全般を語る日記。

『アイアンマン』を観た

 

アイアンマン [Blu-ray]

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 録画していた『アイアンマン』を観た。大方予想どおりの内容だったが、アメコミ映画はこれまであんまり観てこなかったこともあって、たまにはこういう分かりやすい映画もいいなぁと。魅力は何と言ってもアイアンマンのカッコ良さ。ピッカピカのメタルボディ、圧倒的な火力、大空を自由に飛び回れる滑空機能など、などまさに男が大好きな要素が満載だ。主人公のトニーは「軍需産業の社長」なので我々一般市民とかけ離れた存在と思いきや、芯の部分ではオタク気質なところがあり共感できる。

映画としては楽しめ方が「よくあるアメコミ映画」という印象は拭えない。なので続編を観るほどのモチベーションはないかな。

『ヒックとドラゴン』を観た

 

 

ヒックとドラゴン』を観た。続編である『ヒックとドラゴン2』が日本未公開にも関わらず、高い評価を受けているようで、気になって観た。批評家やライターからも好評なので期待してみたが、予想以上に面白かった。ド傑作である。

映像、ストーリー何をとっても素晴らしく、エンターテイメントとして極めてレベルが高かった。ドラゴンの背に乗って大空を飛翔するシーンは疾走感バツグン。2Dアニメーションでは作画的に厳しいが、このあたり3Dならではの利点だと思った。

ドラゴンのバリエーションが豊富で飽きなかった。それぞれ特性や弱点があって、それを突くことによって撃退するあたり、ゲーム的な発想で少年心がくすぐられた。なお実際にゲーム化もされているみたい。

トゥースことナイト・フューリーがとても可愛らしかった。動きや細かい所作がリアリティをもって描かれていて、「ドラゴンが実在するならあんな感じなんだろうなぁ」と。ヒックがアスティと良い雰囲気なのを見て嫉妬するところなど、とてもチャーミングだった。

ドラゴンの島で展開されるクライマックスは圧巻だった。グリーン・デスとの死闘もビジュアル的に迫力があったし、ドラマ的には確執があった父親と和解するなど、一点集中に物語が収斂していく快感があった。ヒックが片足を失ったことには驚いたが、これほどの祝祭感を持ったラストはそうそう観たことがない。

アニメーション映画としてはかなりの名作だった。続編である『ヒックとドラゴン2』もすぐに観たい。これだけ優れた『1』に対して『2』がどのようなアプローチをしてくるのか楽しみなところ。

『ドライヴ』を観た

 

ドライヴ [Blu-ray]

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 2011年公開のニコラス・ウィンディング・レフン監督作『ドライヴ』を観た。観ようと思ったきっかけは、大好きなゲーム『Hotline Miami』が本作の影響を受けていると聞いたから。

『Hotline Miami』のような人をブチ殺しまくるハイな映画かと思っていたら、少し違っていた。大雑把に物語を説明すると、かつて“運び屋”だった主人公・ドライバーが、惚れた女のために、彼女の夫が背負った借金を返済するうちにトラブルに巻きこまれていくというもの。
闇社会から足を洗った男が惚れた女のために再び堕ちて行くという物語フォーマットはありがちで本作もそのひとつ。印象的だったのは、淡々とした語り口。主人公:ドライバーは無口なうえ無表情、モノローグもまったく入らないから彼が何を考えているか分からない。人を殺すシーンも劇的に描かずに極めてクール。このあたり『Hotline Miami』っぽいなと感じた。とくにナイフやカミソリでサクッと殺したり、顔面をストンプするあたり。

全編に渡ってサイケデリックなダンスミュージックが使われていて、これはモロに『Hotline Miami』に影響を与えているなと感じた。好みの曲ばっかだったのでサントラほしい。

実写版『進撃の巨人』を観た

TOHOシネマズ新宿にて実写版『進撃の巨人』を観てきた。叩かれたり炎上していたので、観る前は「どうなんだろ…」と不安だった。でもいざ観てみたら、メッチャ面白い! ネットの評価なんかアテにならないなぁ、と実感した。

映画全体の印象を率直に表現すると、「怪獣映画」+「ゾンビ映画」。樋口真嗣がメガホンを手がけていることから、映像面は素晴らしくとにかく巨人の迫力が半端ない。マンガやアニメに比べ、より重量感が際立っていた印象。とりわけ大型巨人の出現シーンは「キタキタキター!」という感じで大興奮してしまった。

ただ、直前に樋口真嗣が出演したポッドキャストを聴いていて、「巨人役のエキストラはTバック&ニップレス着用だった」と余計な前情報を入れてしまい、それがふっと脳裏によぎってはモヤモヤしてしまった。
巨人はCGではなく生身の人間が演じており、たしかにどこか滑稽な感じがあった。それでもCGではなく生身の人間を選んだのは、“生々しさ”が欲しかったからではないだろうか。あるいは、CGでやると予算が潤沢なハリウッド映画と比較されてしまうので、それよりかは日本の伝統的な「特撮」で勝負したかったのかもしれない。

役者に関しても案外気にならなかった。原作と名前は同じだが、キャラクター性はまるで違うので比較せずに済んだ。個人的にはミカサ役の水原希子がフォトジェニックでよかった。キャスティングで微妙だと思ったのは、石原さとみだけ。あんな幼いヤツが上官ヅラしてるのは不自然過ぎる! 同意見の人が多いだろうと思っていたら、意外と「石原さとみがよかった」という意見が多くてビックリ。

ネットでは「原作と違う!」という批判が多数見られるが、個人的にはむしろオリジナル要素を楽しんでみれた。結局、あらすじは原作マンガやアニメで丸わかりなので、同じことをやられても退屈なだけ。しかもアニメ版かなり出来が良いので、原作を完コピしても相当キツいはずだ。原作ファンから不評なオリジナルキャラの・シキシマだが、後編でどのような役回りになるのか楽しみなところ。

マンガやアニメでなかったものとしては“ホラー要素”があった。地下の“赤ちゃん巨人”の下りはハラハラドキドキさせられて面白かった。またエレンと子持ちの女性がラブシーンに入るかと思いきや、唐突な巨人の出現にもビビった。このあたり実写版ならではの展開が面白かった。

興行収入も当初の予想よりは不発らしく、監督の発言から炎上も起きているが、個人的にはこの実写版は気に入っており、応援したい。なによりもわずか98分でエレンの巨人化まで描き切ったのはスゴい。これ以上の実写化はありえなく最適解だったと想う。

最後に、観るなら映像スゴいので断然IMAXがオススメです。

 

『桐島、部活やめるってよ』を観た

レンタルにて『桐島、部活やめるってよ』を視聴。観ようと思ったきっかけは、とある演出家のインタビュー中に本作の話題が出たから。さすがに有名作なので見とかないといかんな、と。

実は原作者の朝井リョウは、同じ大学かつ同じ学部のひとつ上の先輩。つまり僕と同世代。若い感性を節々に感じられ、高校生のやり取りが非常に生っぽくてよかった。とくに女生徒の表向きは仲よさげだけど、裏では分かり合ってない感じとかドキッとさせられた。スクール・カーストの描かれ方も、アニメやラノベみたいに誇張されることなく、いかにも「ありそうな感じ」でよかった。

本作は多数の視点で物語が描かれる「群像劇」であるが、僕は高校時代にオタクグループに属していたこともあり、神木隆之介演じる前田涼也に感情移入して見ていた。神木隆之介の演技はオタクの喋り方や所作が非常にリアルで違和感なかった。
前田が東原に恋焦がれるように「橋本愛、かわいいな~」と思って見ていたところ、まさか付き合っている男子がいたという、突然のNTR展開にビックリ。まんまと騙され「女って恐いな」と思った。まぁ内心彼女も前田に気があったようだが。

同じイベントが視点を変え何度も反復されるあたりは、ゲームの『街』や『428』を思い出した。見る人によって、こうも景色が違うのかと、見ていて面白かった。結局人生も同じで、自分の見ている景色なんて他人とまったく違うんだろうなぁ。

正直、テーマ的部分はあまり理解できなかった。ラスト、前田が映画部の後輩に「こんな世界でも生きていかなければならない」的なことを言うのだが、それがテーマなのだろうか……。とりあえず本作の批評・論評をネットで探してみよう。

『インサイド・ヘッド』を観た

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『インサイド・ヘッド』を2D吹き替え版で観てきた。ホントは字幕版で見たかったけど、最寄りの映画館では吹き替え版のみだったのでやむを得ず。コミカルなシーンはやはり字幕版のほうが感じが出ていると思ったが、そんなことは些細なもので、映画自体は大変素晴らしかった。ピクサー映画のなかでは間違いなくマイ・ベスト。

本作は仕事で多少縁があったこともあり、もともと思い入れがあった。「“感情”を主人公にした映画」というコンセプトも、昨今オリジナルや続編ばかりの映画界のなかではかなり挑戦的な試みだ。そんなところに好感があり、応援したくなる作品だった。

本編がはじまる前にピート監督が「これはあなたの物語です」と言っていたが、まさにそのとおりの映画だった。とくに「引っ越しで精神をやられてしまう」というライリーの境遇が過去の自分の経験と重なり、「わかる、わかる」という感じで、かなり感情移入できた。

本作は“感情”を描くドラマということで、「ヒトはどのようにして物事を感じるのか?」とか「性格や価値観はどのようにして形成されていくか?」というメカニズムが丁寧に描かれていて「なるほどな~」と見ていて面白かった。映像では、性格やその人特有の行動様式みたいなものは“島”として表現されていて、複数の“島”によって人格が形成されているように描かれた。思わず「自分の頭はどんなふうになってるんだろう?」と想像してしまった。

感情のメイキング的な部分もさることながら、物語面も素晴らしく、目頭が熱くなってしまうシーンが多々あった。とくに過去の家族との思い出を振り返るシーンは、『オトナ帝国』のひろしの回想シーンばりに泣ける。ビンボンが思い出となって消えるシーンもよかった。

本作は子どもよりも、大人や子持ちの親のほうが刺さると思う。実際、劇場でも子どもよりも大人のほうがウルウルしてたし。そもそもピート監督が本作をつくったきっかけは、思春期を迎え急に性格が変わってしまった娘をみて「どうしたんだ?」とショックを受けたことにある。そういう着想なので、映画を見ててもどことなく“親目線”を感じる。


誰もが一度はこう思ったことがあるだろう。「悲しい気持ちなんてなくなればいいのに」「楽しいことや嬉しいことだけでいいのに……」と。本作では「ヨロコビ」や「ムカムカ」など5つの感情が登場し、最初にそれぞれの役割りが語れるが、「カナシミ」の存在理由だけは最後まで明かされない。

途中で、それっぽいことも何となく暗示されてはいる。母の頭のなかでは「カナシミ」主導権を握っていたり、「カナシミ」がビンボンを慰めるシーンなどがそうだ。
終盤、家出のあとで帰ってきたライリーは「カナシミ」の心を爆発させ、両親にひた隠しにしてきたが本当はツラかったことを告白する。娘の本心に気がついた父と母。ライリーは両親に熱く抱かれ、その瞬間、「ヨロコビ」と「カナシミ」が入り交ざった思い出ボールが誕生する……。

「カナシミ」の役割りは、自分自身よりもむしろ他者に対して向けられるものだと解釈した。すなわち「思いやり」である。ライリーの母の感情で「カナシミ」が主導権を握っていたことからもそれは明白だ。この感情がないと、他人の悲しみ、辛さを想像できなく、共感することもあり得ない。

僕はネカティブで悲しみがちな人間だが、そんな自分も悪く無いかもと、ポジティブになれる映画だった。

『グッドフェローズ』を観た

 

グッドフェローズ [Blu-ray]

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レンタルにて『グッドフェローズ』を視聴。アニメ演出家・梅津泰臣が『A KITE』をつくるときに本作に影響を受けたらしく、興味を持って観た。

本作はジャンル的には「ギャングもの」で、マフィアの盛衰が描かれる。「ギャングもの」と言っても、ド派手に抗争を描いたり、ドラマチックに仲間の死を悼んだりとかはせずに、リアル路線で淡々とドラマが描かれていった。このカラッとした感じに『A KITE』や『MEZZO -メゾ-』っぽいなと思った。

序盤でトミーが「仲間を裏切るな」と言ってるあたりから本作は“仲間大事系”の映画かと思っていたが、全然そんなことなかった。ラストであっさりヘンリーは仲間を売るのである。オチもカラッとした感じで終わる。「ギャング映画」としてはシャレな作品だと思った。

BGMが全編に渡って実在のロックバンドの楽曲が使われていた。シリアスな殺人シーンなのに陽気なロックが流れたりしていて、そのギャップが面白かった。エンディングのシド・ヴィシャスの「MY WAY」もシャレてる。

あと少年時代のヘンリーの髪型が、今の自分の髪型と同じで親近感湧いた。